原状回復工事の負担割合は?計算方法や負担ルールについて解説
公開日:2023/05/01 最終更新日:2023/04/05
マンションを出る際に、壁などに損傷があった際原状回復が必要になるでしょう。ただ、原状回復工事は誰が負担するのかよくわからないという方もいます。本記事では、原状回復工事の負担割合や計算方法・負担ルールについて解説するので原状回復工事について知りたい方はぜひ、参考にしてください。
原状回復工事の負担割合・ルールとは
賃貸マンションなどに住んでいる方は、引っ越しの際に原状回復工事が必要になる場合があります。ただ、どこまで賃借人が負担するのか曖昧な点もあるでしょう。原状回復工事の負担割合やルールついて解説するのでぜひ、参考にしてください。
原状回復工事の一般的なルール
借りている建物やマンションなどは、経年劣化や通常消耗により原価してくのが基本です。経年劣化や通常消耗による劣化は、賃料として含まれている場合がほとんどです。ただ、賃借人が壊した場合やたばこによる変色は賃借人がある程度負担する必要があるといえます。
カーペット・クッションフロア・フローリング
毀損等が複数箇所の場合は居室全体の修復が必要になり賃借人が負担する。フローリングも同様に、居室全体の修復が必要となり原則として、m²単位での負担となります。
壁(クロス)
賃借人が破損した部分までを、張替え費用を賃借人が負担する場合が多い。
タバコや壁の色や臭い
賃借人にたばこを吸う場合は、壁やクロスが黄色くなっている場合があります。たばこのヤニで変色している場合には、変色した部分だけを賃借人が負担します。また、居住スペース全体が黄ばんでいる場合にはクリーニングや張替え費用を賃借人が負担する場合がほとんどです。
設備機器や鍵
設備機器を損傷した場合には、補修部分の修理代や費用を賃借人が負担します。また、鍵の紛失や補修などに掛かる費用も賃借人が負担する場合が一般的です。
基本的に借主は経過年数・入居年数に応じて考慮される
原状回復工事は、借主は基本的に経過年数や入居年数に応じて考慮するのが基本です。ただ、中には入居年数に応じていないケースもあるため注意が必要です。原状回復工事が経過年数や入居年数に応じているケースとそうでないケースを解説するのでぜひ、参考にしてください。
経過年数や入居年数に応じているケース
賃料の中に、経過年数や入居年数による原状回復工事の費用が含まれていると考えられています。建物や設備などは時間の経過とともに、価値が下がっていくという考え方に沿っているためです。価値の減少は、時の経過とともに下がるという考え方が一般的な考え方です。これらの考え方からも、借主は経過年数や入居年数を考慮して原状回復工事を負担しなければなりません。
経過年数や入居年数に応じていないケース
原状回復工事にはさまざまなケースがあり、すべてが借主負担とするということではありません。たとえば、フローリングの一部を補修した場合には経過年数を考慮したうえで、補修した部分だけを賃借人に負担させるのが一般的です。全体のフローリングを補修した場合には、経過年数を考慮した上で賃借人に負担させる金額を決めるのが妥当でしょう。
原状回復に関する特約がある場合
原状回復工事には特約があり、入居する前の契約の段階で記載するだけで大きく変わる部分があります。原状回復工事に関する特約についてくわしく改正するのでぜひ、参考にしてください。
賃借契約書に記載するべき事項
賃借契約書に記載する事項で、経年変化や通常損耗によって汚れたり壊れたりした部分の修理費用を借主に負担させることが可能です。ただ、賃借契約書には負担してもらう修理項目と金額をはっきり記載することが大切です。借主が退去時に負担すべき金額が記載されて初めて、賃借契約書の効力を発揮します。抽象的な書き方では、借主に修理費用などを負担することはできないことを知っておきましょう。
最高裁で認められている原状回復工事の借主負担額は決められている
原状回復工事にかかる負担額を、賃借契約書に多額の金額を記載していれば借主がすべて負担してくれるといえばそうではありません。たとえば、家賃が月額10万円のワンルームマンションの場合、家賃金額の3倍の30万円を原状回復工事として借主に負担させてもいいように思われます。これは、最高裁で決められている修理費には家賃月額の3倍くらいは認められているという点からです。
ただ、ワンルームマンションだと壁の張替えや全体位のクリーニングを行ったとしても、総額20万円も掛からないといわれています。こうしたことからも、家賃の3倍程度の原状回復工事を借主に負担させようとしても、無効となる場合があります。
まとめ
本記事では、原状回復工事の負担割合や計算方法や負担ルールについて解説しました。原状回復工事と一言にいっても、すべてを借主が負担することでもなく賃借人が負担するわけでもありません。故意で壊したりした場合は別ですが、経過年数によって劣化することを覚えておくと便利でしょう。人が住んでいれば、必ず傷んだり色あせたりする部分はあるでしょう。そこを考慮しながら、原状回復工事に掛かる費用を負担したり賃借人に請求したりするのが妥当だといえるでしょう。本記事が、原状回復工事に関して詳しく知りたいという方の参考になれば幸いです。