原状回復工事とは?ハウスクリーニング・リフォームとの違いを解説
公開日:2023/03/01
賃貸物件から退去する際に必要なのが原状回復やハウスクリーニングです。これらの違いについてはっきりと理解している人は少ないのではないでしょうか。いずれの場合も賃貸借契約書を締結する際に納得したうえで契約を進める必要があります。ここでは原状回復工事とハウスクリーニングやリフォーム・リノベーションの違いについてご紹介します。
原状回復工事とは?
原状回復工事とは、退去するときに必ず行う作業で、経年劣化した室内の傷などを修復し、入居前の状態に戻すことです。原状回復工事を行う理由は、借主によって使い方が大きく異なるため、次の借主が入る時にフラットな状態に戻しておく必要があるからです。原状回復には業者の選定を誰が行い、工事費用を誰が負担するのかによって3つに区分されます。
A工事
工事の業者選定も費用も物件の所有者が行います。基本的には建物の通路やエレベーターなどの共用部分や給排水メーターやガスなどの部分を請け負います。
B工事
工事の業者選定は物件の所有者が行い、費用は入居者が負担します。入居者の要望に応じて行う工事なので、空調や照明、防災設備に関わるものが多いです。
C工事
業者選定も費用負担も業者が行います。内装工事や照明器具の設置、インターネットや電話に関する工事も含まれます。工事業者との間に建物の所有者を挟む必要がないため、コミュニケーションがスムーズで、工期や費用に関しても調整がしやすいです。
工事の内容
物件によって工事内容は異なりますが、間仕切りの撤去や造作物の撤去・解体、天井・壁・建具の塗装、タイルカーペットの張替え、照明器具の交換、OAタップの撤去、床下の配線、窓や床など必要な箇所のクリーニングが含まれます。
工事のタイミング
マンションやアパートのような住居の場合は賃貸契約終了後、店舗やオフィスなどは賃貸契約終了前に工事を終わらせる必要があります。特にオフィスの場合はかなりの時間と労力がかかることが予想されますので、事前に契約内容に目を通しておきましょう。
ハウスクリーニングとの違い
原状回復は生活しているなかで、故障したり壊れたりした部分を元に戻すことで、掃除とは異なります。物件を退去するときには必ず行う作業であり、基本的には経年劣化した室内の損傷を修復し、入居前の状態に戻す作業です。
一方でハウスクリーニングは、専門業者が物件を清掃することで、貸借人では行き届かない細かい部分まで念入りに清掃し、きれいな状態で引き渡せるよう作業します。ハウスクリーニングは必須ではないですが、特約に記載されている場合は必要であることがあるので、賃貸借契約書でハウスクリーニングの有無を確認しましょう。
床掃除
居住年数が長くなればなるほど、モップやぞうきんで拭いても取れない汚れが付着することがあります。また、物の落下による傷などもつきがちです。ハウスクリーニングを依頼すれば、専用の道具と洗剤で作業するため、素人では落としきれない汚れやシミも除去できます。
水回り
市販の洗剤ではなかなか落ちない水アカやカビ、せっけんかすなども徹底的にクリーニングしてもらえます。またお風呂の配管まで掃除してくれるため、水の流れも良くなります。
レンジフード
レンジフードは定期的に掃除しなければ、油汚れやほこりでベタベタになってしまうだけでなく、最悪の場合には発火する危険性もあります。ハウスクリーニングに頼めば、レンジフードにこびりついた汚れもきれいに掃除してもらえます。
リフォーム・リノベーションとの違い
リフォームやリノベーションと原状回復の違いについて見ていきましょう。
リフォーム
リフォームは一部の設備が壊れたときに修繕したり、新しい設備に取り換えたりする部分的な工事です。たとえば、今使用している物件は気に入っているので、雰囲気をそのまま維持しながら老朽化してしまった部分だけ取り換えることや、水回りだけ古くなったのでお風呂とキッチンを新しくしたいという場合はリフォームがおすすめです。
リノベーション
所有している物件を全面的に改修して間取りを変更したり、機能性を加えたりする工事をリノベーションといいます。たとえば3LDKの物件を単身者向けに1LDKに変更するといったような自由度の高い工事を指します。リフォームとの違いは工事の範囲と機能性で、リノベーションのほうが範囲は広く、機能性を向上させることを目的としています。
まとめ
原状回復とハウスクリーニング、リフォーム、リノベーションの違いについておわかりいただけましたでしょうか。それぞれ役割が異なるため、状況に応じて選択するようにしましょう。原状回復工事は移転や退去の際には欠かせない工事です。経年劣化した室内の傷などを修復し、入居前の状態に戻します。設備工事や全面改装をしたい場合にはリフォームやリノベーションを選ぶことをおすすめします。どれを行うべきかわからない場合や、どのように変えたいか要望がある場合には専門業者に相談してみましょう。